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海外ドラマ&映画関連アメリカン・アワード丸わかりまとめ

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DVDのパッケージや公式サイトでよく見かける「◯◯賞受賞!」の文句。正直4大アワード以外どんな賞でいつ誰が授与しているのかもよく知らないという人が多いのでは?そこで今回はアメリカのドラマ・映画関連アワードを一気にご紹介しよう。

全米映画賞の先陣を切る「ゴッサム・インディペンデント映画賞」

毎年映画賞シーズンの始まる10月にノミネート作品が発表され11月下旬に授賞式が行われる、その名の通りインディペンデント系の作品に特化した映画賞。つまり娯楽超大作なんかは蚊帳の外に置かれちゃってるアワードなのだ。となるとアカデミー賞の前哨戦にはならないわけね、と思ったそこのあなた!まだまだ甘いですぞ。
実は2014年『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』2015年『スポットライト 世紀のスクープ』と2年連続でアカデミー賞作品賞受賞作品をゴッサムでも作品賞に選んでいるのだ。3年前の『それでも夜は明ける』だってちゃあんと作品賞にノミネートされてたぞ。
その年の賞レースの行方を占うためにも、自主映画対象と侮らずに注目しておきたいアワードなのだ。

独自路線にシフト中「ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞」

もともとは映画の自主検閲を行ってきた非営利団体「ナショナル・ボード・オブ・レビュー=NBR」が主催する映画賞。こちらもアカデミー賞前哨戦のひとつと言われている。
だが実は最近アカデミー賞とは違う目線での作品選びにシフトしている感じだ。というのも「いや、アカデミー賞ではこれはないだろ」とか、「自分たちがスポットを当ててあげなくちゃ」的な作品が選ばれるようになってきているからだ。ちなみに2015年は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、2014年は『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』が選ばれた。毎年12月に発表され1月に授賞式を行っている。

いったいどんだけあるのさ「映画批評家協会賞」

「◯◯映画批評家協会賞最優秀作品賞受賞」ってよく見かけるけどなんか◯◯がいつも違うような気がするんだよね、って思っていなかっただろうか。それもそのはず、映画批評家協会なるものは全米各地にご当地団体として数え切れないほど存在しているのだ。セントルイス、フロリダ、ヒューストン…ボストンなんて「ボストン映画批評家協会」の他に「ボストン・オンライン映画批評家協会」というのもある。「ボストン」の方は1981年設立で会員数24人、「ボストン・オンライン」は2012年設立で会員数25人。いやいや、これなんとかひとつの団体に出来なかったのかねえ。「ボストン」の会員がおじいちゃんおばあちゃんで、「私らにオンラインなんて無理無理」ってな感じだったんだろうか……。他にも「女性」とか「アフリカン・アメリカン」みたいな属性別のものもあって、そもそも映画批評家って一体なんなの?っていうくらいの人数がいらっしゃる様子なのだ。
こういった映画批評家協会が毎年12月から1月くらいの間に続々と映画賞を発表するのだから、街中に「◯◯映画批評家協会賞受賞」の文字が溢れるのも当然っちゃあ当然。それにしても会員数20人くらいで映画の賞作っちゃうって、すごくない?なんか手作り感満載というかなんというか……。今まで「◯◯映画批評家協会賞受賞」っていうとすご〜くありがたく思ってたけど、もしやそれほどでもないものも紛れているのか?
ということで、ここでは特に権威があるものと海外ドラマ・ファンに外せない理由がある3つの「映画批評家協会賞」だけ押さえておこう。

(1)設立1935年、最も古い「ニューヨーク映画批評家協会賞」

前出の「ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞」と並んで映画賞の序盤戦での注目を集めるのが、この「ニューヨーク映画批評家協会賞」。数ある「映画批評家協会賞」の中で最も古いだけあって、受賞作品選びもなかなかに重厚。娯楽作品よりも社会派や芸術的な作品が選ばれがちと言われている。
しかも古参の協会だけあってプライドの高さも半端なく、会員の選考はかなり敷居を高くしているらしい。ということで映画批評家協会賞としては最もありがた度が高い賞といえるかもしれない。

(2)絶対に見返してやる!「全米映画批評家協会賞」 

前出の「ニューヨーク映画批評家協会」に入会を断られた批評家たちが1966年に設立した協会の映画賞。メンバーには「ニューヨーカー」、「ニューズウィーク」、「ライフ」と言った全米を代表する雑誌の編集者たちが名前を連ねている。な〜んでこの人たちを入れたくなかったんだろ、「ニューヨーク映画批評家協会」。まあ断った方は「あいつら田舎出身でニューヨーカーじゃないし、成り上りだし…」くらいの軽い気持ちで断ったのかもしれないが(いや、あくまでも想像ですよ、想像、念の為)断られた方はその屈辱を心に刻んだらしい。
その証拠に実はニューヨークを拠点とした映画批評家グループでありながら「全米」と名乗って、「ニューヨーク協会」に真っ向から喧嘩を売ったのだ。しかも国際批評家連盟賞でのアメリカ代表の座もゲット!打たれたものは強いのだ。
影響力のある雑誌関係者が多いことから、映画通からも高い評価を得ていて、リベンジはほぼ完璧と言えるだろう。その自信からかアカデミー寄りではない独自な作品選びにも定評がある。
後悔してるだろうなあ、「ニューヨーク映画批評家協会」のご重鎮たち。

(3)「クリティクス・チョイス・アワード」で知られる「放送映画批評家協会賞」

映画批評家協会の中でも会員数が多い(300人超)ことで知られ、表彰部門最多を誇る代表的な賞だ。日本でも英語名の「クリティクス・チョイス・アワード」と呼ばれることが多いので、映画批評家協会賞の1つだと気づいていなかった人もいたのでは?日本語にすると「放送」とか「全米」とかどっちがどっちか紛らわしいので、「クリティクス・チョイス・アワード」と呼ばれているのは、わかりやすくて大変よろしい!
海外ドラマ・ファン的には、2011年から始まったテレビ部門が要注目。歴史は浅いけれども「エミー賞」や「ゴールデングローブ賞」に準じるテレビ・アワードとして伸びてきているからだ。11月にノミネートが発表され12月の授賞式で表彰されるのは、9月から始まった新作・新シリーズも対象。つまり翌年9月のエミー賞で締めくくられる壮大なテレビ・アワード・レースの始まりを担っているというわけだ。終わったと思ったらもう次年度が始まる…海外ドラマ・ファン道は終わりなき旅路なのだ(笑)。

(4)テレビ限定の批評家組合もあるぞ「TCA賞」こと「テレビ批評家協会賞」

毎年春と夏にテレビ評論家を対象にしてツアーを行なっている「テレビ批評家協会」。その夏のツアーの一環として行われているアワードが「TCA賞」だ。この賞の何が良いって、映画とかウェブには目もくれずあくまでもテレビ番組だけに的を絞っているところだ。潔いじゃないか!
テレビ業界を知り尽くした評論家たちが選ぶだけあって、チャレンジングな新シリーズが選ばれることも多い。製作者たちにとって批評家の論調は大いに気になるところ。新シーズンのオーダーや打ち切りに大きく関係しているとも言われているのだ。

職業別アワードも見逃せない「全米製作者組合賞」「全米映画俳優組合賞」「全米監督協会賞」「全米脚本家組合賞」

ギルド系と呼ばれる職業別組合から送られるアワードは、投票者が重なっているので「アカデミー賞」や「エミー賞」の行方を占う上で外せない賞と言われている。俳優組合はもちろん、音響さん、衣装さん、編集さん、美術さん……とまあこれまたキリがないほどたくさんの組合があって、それぞれにテレビ部門を擁しているのだ!
毎年、ノミネーションの時点でアカデミー賞と十中八九同じということで大注目されているのが、「全米製作者組合賞」。しかも2008年以降作品賞の受賞作が全て一致しているというびっくりな状況なのだ。どこまでその記録を伸ばすのかもとっても気になるなあ。
「全米監督協会賞」も、長編映画監督賞の結果のほとんどがアカデミー監督賞と一致することで有名だ。何しろ1938年からの長〜い歴史の中で、アカデミーと一致しなかったのはたったの3人しかいないのだ。「一体誰だよ!」って気になって仕方がないあなたのためにお教えしよう。その不名誉?な3人とは、1985年のスティーヴン・スピルバーグ、1995年のロン・ハワード、そして2013年のベン・アフレック。ベンに至ってはアカデミー監督賞にノミネートすらされず、何かあったんじゃなかろうかと逆に注目を集めたりしたのだ。
「全米映画俳優組合賞」は、多くの組合員がアカデミー会員と重なっていることで知られる。アカデミー会員は保守的と批判されがちだが、映画部門だけじゃなくテレビ部門の結果もいつもなんとなく保守的。特に2016年は9部門中6部門が前年と同じ受賞者だったことで、びっくりした人も多かったはず。しかも個人に与えられる賞6部門のうち4部門が黒人の受賞ということで、アカデミー賞での有色人種差別批判を気にしすぎちゃったってのが見え見えだぞ。はてさて2017年はどうなることやら。
「全米脚本家組合賞」では映画・テレビ部門はもちろんのこと、ラジオ部門やニューメディア部門にもトロフィーが用意されている。テレビ部門もクイズ&観客参加番組部門とかニュースの中にレギュラー番組・速報・特報部門と分析・特集・コメンタリー部門があったりとなかなかに細分化されていて面白いのだ。脚本家としては、いろいろこだわりを持って書いてるってことなんだろうなあ。
ここで1つトリビアをご紹介しよう。「全米脚本家組合」は実は2つの拠点を持っている。LAを拠点とするウェストとニューヨークを拠点とするイーストだ。メンバーはどちらかに所属していて、ほぼ同時刻に行われる自分の所属する方の組合授賞式に出席することになっている。このためチームを組んでいる脚本家たち……例えば2016年新シリーズ賞を受賞した『MR.ROBOT/ミスター・ロボット』では2つの脚本家チームがそれぞれの会場に分かれて受賞した、というようなことが毎年おこっているのだ。

人気投票系も外せない「ピープルズ・チョイス・アワード」&「ティーン・チョイス・アワード」

この2つのアワード、名前が似ているので大人版と若者版と思われがちだが実は全くの無関係。
「ピープルズ・チョイス・アワード」は1975年から続く歴史を持ち、一般人がインターネット経由でテレビ・音楽・映画に投票して決まるアワードだ。もちろん日本にいる私たちにも投票する権利がある。ブラボー!
年々派手になる授賞式では60部門以上の表彰が行われ、その様子は毎年1月にCBSで生中継されている。今みんなが見たいスターがいろんな垣根を越えて一堂に会する様子は、豪華でまばゆい祭典といった感じ。だから授賞式に出席できる人や盛り上げ方がうまいエンターテイナーが選ばれがちなのはご愛嬌。他の賞とは違ってドラマ部門を普通の放送系・ケーブル系・ネットワーク系と細分化しているのも、受賞者を増やして出演するスターを増やしちゃいましょという魂胆が丸見え…でもいいのだいいのだ、だって人気投票のお祭りなんだから。
「ティーン・チョイス・アワード」の方はFOXが1999年から主催・中継する。13歳〜19歳の若者が投票権を持ち、公式サイトやFOXのアプリ、そしてハッシュタグ付きのツイートでも投票できるというなんとも今どきなアワードだ。トロフィーの代わりにサーフボードが贈られ、受賞者の多くはTシャツ姿というゆるゆるな受賞シーンもおなじみになってきた。格式高いアワードとは全然違う結果になるのも、若者の本当の声って事でなかなかに注目されているぞ。

世界最大のプレス団体が選ぶ「サテライト賞」

主催する国際プレスアカデミー(IPA)はエンタメ系の記者が所属する団体としては世界最大の組織。「サテライト賞」自体は1996年から続いている。創設者がゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会の元会長というだけあって、テレビ部門もちゃあんと用意されている。「それじゃあゴールデングローブ賞とあんまり変わり映えしないわけね」と思いきや、実は新しい作品に積極的な姿勢のアワードとして知られているのだ。全米俳優組合賞<エミー賞<サテライト賞といった順番で攻め度合いが上がっていくというのが最近のもっぱらの評判だ。

カテゴリーがユニークな「MTVムービー・アワード」

1992年から続くMTV主催の映画賞。最優秀キスシーン賞、実際にあった物語賞、最優秀悪役賞など、他のアワードにはない部門が毎年注目を集めている。ちなみに2016年最優秀バトル賞には、『レヴェナント:蘇えりし者』からレオ様VS熊もノミネートされていた。残念だったかどうかは知らないが、レオ様の受賞は成らず。『デッドプール』のライアン・レイノルズ vs. エド・スクラインがトロフィーを受け取ることとなった。

ちょっとマニアックだけど外せないのが「サターン賞」

映画・テレビ・ DVDの優秀なSF・ファンタジー・ホラー作品に贈られる賞。昨今のファンタジー作品ばやりを考えると、もはやマニアックとは言えないくらいメジャーなアワードに肩を並べつつある。
例えば2016年第42回のテレビ部門受賞ラインナップを見てみよう。最優秀SFシリーズ『コンティニアム CPS特捜班』、最優秀ファンタジー・シリーズ『アウトランダー』、最優秀ホラー・シリーズ『ウォーキング・デッド』とまあ一般的に大人気の作品がずらりと並んでいる。すっかりメジャー路線に乗っちゃったのかと思いきや、「スーパーヒーローものドラマ化シリーズ賞」なんていうカテゴリーがあるところがオタク心を刺激してくれる楽しい賞なのだ。

実はとっても面白いマニアックなアワード

世の中にはいろんなマニアや専門家がいるもので、そんなニッチなところをターゲットにしたアワードが実は結構ある。
例えば前出の「サターン賞」はなんだか市民権を得てきたのだが、SF界には「ヒューゴー賞」という世界SF大会で来場者が選ぶニッチ・アワードがある。
ホラー・SF・ファンタジーの映画・テレビ・コミック対象だと「スクリーム賞」というのもあった。気になるカテゴリーは「切断賞」とか「椅子から飛び上がる賞」笑。なぜかはわからないけれど2011年を最後に最近はやってないみたい。
他にも、昔懐かしい名作好きのための「TV Landアワード」なんていうものもある。需要、あるんだねえ。
また、映画・テレビに限らず活躍したアフリカン・アメリカンに贈られる「BETアワード」とかラテン系のスターに贈られる「ALMAアワード」など人種別系のアワードも充実しているところが、さすが人種のるつぼアメリカだなあ。
その他、国際アニメーション協会(ASIFA)が主催するアニメのアカデミー賞「アニー賞」とか3D映像に特化した「3D Creative Arts Awards」などなどおそらくエンタメ系の全てのジャンルはどこかのアワードに網羅されているのではなかろうか。

おわりに

いかがだっただろうか。小さなものから大きなものまで玉石混淆なアメリカ・アワード界。たくさんありすぎてなんだかよくわからないと思っていたけれど、これだけあるなら自分の好みにぴったりなアワードも見つかるような気がしてきたぞ。でもアワードの前にまずは新作ドラマを押さえておかなくっちゃ。海外ドラマ・ファンの夜は今日も終わらないね。

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